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海外展示会に出るべきか — 視察から始めたほうがよい理由

海外展示会は、うまくいけば一度で数年分の商談が生まれ、失敗すると数百万円が消えます。分かれ目は商品力より準備の量にあり、その準備の大半は会期前に終わっています。判断材料を、費用と現場の両面から整理します。

まず視察から入るべき理由

いきなり出展するより、前年に視察するほうが結果的に安く済みます。理由は三つです。

  • 来場者の質が分かる。 バイヤーが来る展示会か、業界関係者の交流の場か、一般消費者向けか。公式資料の来場者数はこの区別を教えてくれません
  • ブース位置の意味が分かる。 会場図では同じに見える区画が、実際には人の流れがまったく違います。入口正面、メインの導線沿い、隅——ここでの差は出展費用の差より大きく出ます
  • 競合の見せ方が分かる。 同カテゴリーの他社がどの規模で、どんな什器で、何を配っているか。翌年の設計がまるごと変わります

視察であれば渡航費と入場料で済みます。出展費用の一割以下で、翌年の判断精度が桁違いに上がります。

費用の内訳(出展料は一部にすぎません)

出展を検討する際、多くの企業様が出展料だけで予算を組み、後から積み上がります。実際に発生する主な項目は次のとおりです。

  • 出展スペース料 — 面積単価。位置によって単価が変わります
  • ブース施工 — スペースのみの契約か、什器込みのパッケージか。欧州の展示会は「床だけ」の契約が一般的で、施工費が別途かかります
  • 電源・照明・通信・什器レンタル — 会場指定業者になることが多く、単価は高めです
  • サンプル・什器の輸送と通関 — 食品・化粧品は通関で止まるリスクがあります。ここは経験の差が大きく出る部分です
  • 渡航費・宿泊費 — 会期中は周辺の宿泊費が高騰します。早期の確保が必須です
  • 通訳・現地スタッフ — 商談を成立させる気があるなら、業界を理解している通訳が要ります
  • カタログ・名刺・配布物の現地言語版

実務上、出展料と同額程度が付帯費用として発生すると見込んでおくと大きくは外しません。

当日の運営で差がつく三点

一.ブースに人を立たせない設計。 通路側に立って待ち構えるより、什器の配置で自然に入れる動線を作るほうが立ち寄り率が上がります。奥に座って待つのは最も機会損失が大きい形です。

二.リードの記録方法を決めておく。 名刺を集めるだけでは、帰国後に温度差が分からなくなります。「すぐ商談」「情報収集」「参考」の三段階と、話した内容の一行メモ。これがあるだけでフォローの精度が変わります。

三.通訳ではなく、交渉できる人を置く。 言葉を置き換えるだけでは商談は動きません。背景と力関係を理解したうえで、その場で言い方を選べる人が必要です。これは通訳料の単価の問題ではなく、成果の問題です。

出展後、最も落ちる工程

会期後2週間以内のフォローが最大の分かれ目です。欧州のバイヤーは複数の展示会を回っており、記憶は急速に薄れます。帰国後に社内報告書を作ってから連絡すると、たいてい遅すぎます。

会期中に、その日のうちに送る短いフォローメールのテンプレートを用意しておくのが実務上最も効きます。

そもそも出展すべきか

次の条件が揃っていない場合、出展の前にやることがあります。

  • 現地の言語で商品説明ができる資料があるか
  • 現地の規制要件をクリアできる見込みがあるか(食品・化粧品は特に)
  • 引き合いが来た場合の対応体制があるか(英語での見積り、輸送、支払条件)
  • その価格帯が現地で通用するという根拠があるか

最後の項目が最も曖昧なまま出展されがちです。商談で最初に聞かれるのは価格であり、根拠なく設定した価格で交渉が始まると、そこから動けなくなります。

出展前に価格とパッケージを検証する

英国の生活者に商品・パッケージ・想定価格を提示し、現地でいくらに見えているかを確認する調査を承っています。展示会での価格提示の根拠になります。
なお展示会の視察・出展・当日運営そのものは、姉妹サイト Japan Business Insider が承っています(欧州展示会への同行実績5回)。

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よくある質問

この記事に関して実際によくいただく質問です。

海外展示会は視察と出展のどちらから始めるべきですか?

前年に視察してから翌年出展するほうが、結果的に費用対効果が高くなります。視察であれば渡航費と入場料で済み、来場者の質、ブース位置による人の流れの差、競合の見せ方という、公式資料では分からない三点が把握できます。これらは出展設計を根本から変える情報です。

海外展示会の出展費用はどのくらいかかりますか?

出展スペース料に加えて、ブース施工、電源・照明・通信、什器レンタル、サンプルの輸送と通関、渡航費、宿泊費、通訳、現地語の配布物が発生します。実務上は出展料と同額程度の付帯費用を見込んでおくと大きくは外れません。欧州の展示会は床のみの契約が一般的で、施工費が別途かかる点に注意が必要です。

展示会のブース位置はどのくらい重要ですか?

出展費用の差以上に成果に影響します。会場図では同じに見える区画でも、入口正面、メイン導線沿い、隅では人の流れがまったく異なります。図面からは判断できないため、前年の視察で実際の流れを見ておくことの価値がここに集約されます。

展示会での通訳は誰に頼めばよいですか?

語学力だけでなく、業界の背景と商談の力関係を理解している人が必要です。言葉を置き換えるだけでは商談は動かず、その場で言い方を選べるかどうかが成果を分けます。単価の問題ではなく、商談が成立するかどうかの問題として考えるべき項目です。

展示会後のフォローはいつまでに行うべきですか?

会期後2週間以内、可能であれば会期中その日のうちが理想です。欧州のバイヤーは複数の展示会を回っており記憶が急速に薄れます。帰国後に社内報告書を作ってから連絡するのでは遅く、会期前に短いフォローメールのテンプレートを用意しておくのが最も効果的です。