海外代理店の探し方 — 見つけるより、見極めるほうが難しい
海外代理店は、見つけること自体はそれほど難しくありません。難しいのは見極めることと、契約条件を後から変えられない状態にしないことです。最初の一社に独占権を与えて数年間動かなくなる——これが最も頻度の高い失敗です。探し方と、その先の判断を整理します。
探す経路は四つ
一.展示会(最も効率が高い)
現地の業界展示会には、仕入先を探す明確な目的を持ったバイヤーと代理店が来場します。名刺交換の効率が他の経路と桁違いです。
ただし出展には相応の費用がかかるため、初回は視察から入るのが現実的です。視察であれば渡航費と入場料で済み、どんな代理店が来ているか、競合はどの代理店と組んでいるかが把握できます。
二.公的機関
JETROの引き合い案件データベースや商談会、自治体の海外販路開拓支援。無料または低額で、相手側も一定の審査を経ています。最初に当たるべき経路です。
三.既存の輸入業者から辿る
自社と同じカテゴリーの日本製品を、すでに現地で扱っている輸入業者を探す方法です。現地のECサイトや小売店で競合・類似商品の販売元を確認すれば、扱っている業者が特定できます。
この経路の利点は、その業者が既にそのカテゴリーで実績を持っていることが事前に確認できる点です。
四.現地に人を置く/代行を使う
現地在住の日本人パートナーや代行業者を通じて探す方法。候補企業への初期接触、信用調査、条件交渉を任せられます。時差と言語の負担がなくなるぶん、進行が速くなります。
候補が見つかったあと、必ず確認すること
ここからが本題です。以下は契約前に確認すべき項目です。
- 取扱ブランド数と、その内訳。 数百ブランドを抱える業者に加わっても、自社は埋もれます。少数を深く扱う業者のほうが結果が出やすい傾向があります
- 販売先の種類。 小売なのか、飲食店なのか、EC専業なのか。これによって必要な価格設計がまったく変わります
- 実際の販売先を具体的に挙げられるか。 「大手小売と取引がある」ではなく、店名を挙げられるか
- 倉庫と物流を自社で持っているか、外注か
- マーケティング費用をどちらが負担するか
- 担当者が変わったときの引き継ぎ体制
- 信用状況。 支払い遅延の有無は、可能であれば第三者の信用調査で確認する価値があります
独占権を安易に与えない
最も重要な実務上の助言です。代理店側はほぼ必ず独占権を求めます。相手にとっては当然の要求ですが、日本側が無条件に応じると、その国での展開が一社の努力量に完全に依存します。
実務的な折衷案は次のとおりです。
- 期間を区切る。 まず1年、成果を見て更新
- 最低購入数量を条件にする。 数量を満たさなければ独占権が失効する条項
- 地域やチャネルを限定する。 「英国の小売のみ」「オフライン販売のみ」など。ECは自社で残すという設計も有効です
- 商標は必ず自社で登録する。 代理店に現地で商標を取られると、取引を解消しても自社ブランドが使えなくなります。これは実際に起こる問題です
価格の決め方で揉めないために
代理店経由の場合、日本の出荷価格に、輸送費、関税、代理店マージン、小売マージンが積み上がります。現地小売価格が想定より高くなり、「その価格では売れない」と後から言われる——これが典型的な行き違いです。
防ぐ方法は一つで、交渉に入る前に、現地小売価格の妥当性を自分で確認しておくことです。現地の棚で競合がいくらで売られているか、その価格帯で自社商品が選ばれるか。この根拠があると、代理店の「もっと安くしてほしい」という要求に対して、価格ではなく訴求の問題として議論を移せます。
代理店を使わない選択肢
越境ECで直接販売する、現地のECモールに出品する、クラウドファンディングで需要を確認してから代理店を探す。いずれも代理店契約より小さく始められます。実績が何もない状態で交渉するより、小さくても現地の販売実績があるほうが条件は良くなります。順序を工夫する余地は十分にあります。
英国の生活者に商品と想定小売価格を提示し、その価格で選ばれるかを確認する調査と、実店舗での競合棚・価格帯の撮影調査を承っています。代理店交渉に入る前の価格根拠としてご利用いただけます。
よくある質問
この記事に関して実際によくいただく質問です。
海外代理店はどうやって探せばよいですか?
主な経路は四つです。現地の業界展示会は仕入先を探す目的の来場者が集まるため最も効率的で、JETROの商談会や引き合い案件データベースは無料で相手側の審査も経ています。現地のECや小売で類似商品の販売元を辿る方法も有効です。現地在住のパートナーに初期接触を任せる方法もあります。
海外代理店に独占権を与えても大丈夫ですか?
無条件では避けるべきです。その国での展開が一社の努力量に完全に依存してしまいます。期間を1年に区切る、最低購入数量を条件にして未達なら失効させる、地域やチャネルを限定してECは自社で残す、といった折衷案が実務的です。
代理店を選ぶときに何を確認すべきですか?
取扱ブランド数とその内訳、販売先の種類、実際の取引先を店名レベルで挙げられるか、倉庫と物流を自社で持っているか、マーケティング費用の負担割合、担当者交代時の引き継ぎ体制。数百ブランドを抱える業者では自社が埋もれるため、少数を深く扱う業者のほうが結果が出やすい傾向があります。
海外で商標登録は必要ですか?
必要です。代理店に現地で自社ブランドの商標を先に登録されると、取引を解消しても自国のブランド名が使えなくなります。これは実際に起こる問題で、契約前に自社名義で登録しておくことが最も確実な防御になります。
代理店を使わずに海外展開する方法はありますか?
あります。越境ECでの直接販売、現地ECモールへの出品、クラウドファンディングでの需要確認など、代理店契約より小さく始められる方法があります。実績が何もない状態で交渉するより、小さくても現地の販売実績があるほうが代理店との条件が良くなるため、順序としても有効です。