海外進出の補助金 — 制度の探し方と、申請前に知っておくこと
海外進出には国・自治体・公的機関それぞれに支援制度があり、うまく組み合わせれば費用の相当部分をまかなえます。ただし制度は毎年のように改定され、公募期間も限られます。この記事では個別の金額や締切ではなく、探し方と、申請前に知っておくべき構造的な注意点を扱います。金額・要件・締切は必ず公式サイトで最新版をご確認ください。
制度は三層に分かれています
一.国の制度
中小企業庁や経済産業省が所管する補助金には、設備投資や新商品開発を対象とするもの、販路開拓を対象とするもの、事業の再構築を対象とするものなどがあります。海外展開に特化した枠が設けられる年もあれば、一般枠の中で海外向けの取り組みが対象になる場合もあります。
特徴は、金額が大きい代わりに要件と書類が重いことです。事業計画書の作成に相応の工数がかかり、採択率も年度によって変動します。
二.自治体の制度
都道府県や市区町村が独自に設ける制度です。海外展示会への出展費用、海外向けウェブサイトの制作費、翻訳費、市場調査費などが対象になることが多く、国の制度より金額は小さい一方、要件が緩く採択されやすい傾向があります。
最も見落とされやすい層です。自社の所在地の自治体サイトを「海外展開 補助金」で検索してみてください。競争率が低く、金額の割に手間が少ない制度が眠っていることがあります。
三.公的機関の支援
JETRO、中小企業基盤整備機構、商工会議所などが提供する支援です。現金の補助というより、専門家への相談、展示会出展のサポート、現地情報の提供といった現物支援が中心で、多くが無料または低額です。
補助金を探す前に、まずここに相談することを強くおすすめします。自社が使える制度そのものを教えてもらえることが多く、それが最も効率的な探し方です。
どこで最新情報を確認するか
- ミラサポplus(中小企業向け支援情報の総合サイト)— 国・自治体の制度を横断的に検索できます
- JETROのウェブサイト — 海外展開に特化した支援情報と相談窓口
- 所在地の自治体サイト — 独自制度はここにしか載りません
- 商工会議所・商工会 — 会員向けの案内で先に情報が回ることがあります
制度は年度単位で改廃されるため、他社のブログ記事や過去の解説記事の金額をそのまま信じないでください。必ず一次情報にあたる必要があります。
申請前に知っておくべき四点
一.多くは「後払い」です。 補助金は原則として、事業を実施し、支払いを済ませ、報告書を提出したあとに交付されます。つまり一度は全額を自社で立て替える必要があります。資金繰りの計画に入れておかないと、採択されたのに実行できないという事態が起こります。
二.交付決定「前」の支出は対象外です。 これが最も多いつまずきです。急いで発注してしまった費用は、あとから申請しても補助されません。スケジュールは公募期間ではなく、交付決定日から逆算して組んでください。
三.事業計画書の質が採択を分けます。 「海外に出たい」ではなく、「どの国の、どの層に、なぜこの商品が受け入れられると考えるのか、その根拠は何か」を書く必要があります。ここで事前の市場調査や現地でのテスト結果があると、記述の説得力が大きく変わります。調査費用自体が補助対象になる制度もあるため、順序を工夫する余地があります。
四.採択後の報告義務は軽くありません。 実績報告、証憑書類の保管、場合によっては数年間の状況報告が求められます。事務負担を見込んだうえで応募してください。
組み合わせるという発想
一つの大きな制度に絞るより、自治体の小さな制度で市場調査を行い、その結果を根拠に国の制度に申請するという順序が、実務上は通りやすく、無理がありません。調査で悪い結果が出た場合に引き返せるという利点もあります。
なお、補助金の要件・金額・公募期間は改定されます。本記事の内容は制度の考え方を整理したものであり、個別の申請にあたっては必ず所管機関の最新の公募要領をご確認ください。
事業計画書の「なぜこの商品が受け入れられるのか」という項目は、現地の生活者による評価結果があると記述が大きく変わります。英国での商品テスト・コンセプト評価を、渡航不要・日本語レポートで承っています。
よくある質問
この記事に関して実際によくいただく質問です。
海外進出で使える補助金にはどんなものがありますか?
国の制度、自治体の独自制度、公的機関による現物支援の三層があります。国の制度は金額が大きい一方で要件と書類が重く、自治体の制度は金額が小さい代わりに要件が緩い傾向があります。制度は毎年改定されるため、ミラサポplusやJETRO、所在地の自治体サイトで最新の公募要領を確認してください。
補助金の申請前に発注してしまった費用は対象になりますか?
原則として対象外です。交付決定日より前の支出は補助されないのが一般的で、これは申請時に最も多いつまずきです。スケジュールは公募の締切ではなく、交付決定日から逆算して組む必要があります。
補助金は先に受け取れますか?
多くの制度は後払いです。事業を実施し、支払いを済ませ、実績報告書を提出したあとに交付されるため、一度は全額を自社で立て替える必要があります。資金繰りの計画に入れておかないと、採択されたのに実行できないという事態が起こります。
補助金の申請書で何を書けば採択されやすいですか?
海外に出たいという意向ではなく、どの国のどの層に、なぜこの商品が受け入れられると考えるのか、その根拠は何かを具体的に書く必要があります。事前の市場調査や現地でのテスト結果があると記述の説得力が大きく変わります。調査費用自体が補助対象になる制度もあります。
まず何から相談すればよいですか?
JETROや所在地の商工会議所、自治体の産業振興部門への相談が最も効率的です。無料または低額で、自社が使える制度そのものを教えてもらえることが多くあります。補助金を自力で探す前に、ここで相談したほうが結果的に早く進みます。